矢車菊レリーフ完成
打ち出し課題3作目となる作品が完成しました。完成まで四ヶ月もかかってしまいました。
先生より「花をモチーフにしたもの」という課題。
題材の花を決めるのですが、過去2作で打ち出しの感覚が掴めてきたので複雑なものに挑戦したくなりました。
前の作品は打ち出し後に打ち目を落していましたが、他の生徒さんの作品は打ち目の仕上げできれいだったので、花びらは磨かかずにきれいな打ち目で仕上げるのも目標です。
やはり花びらの表現が重要なので、素直な花びらでなく入り組んだ花を図鑑やネットで検索。
花を調べていたら昆虫などのワンポイントも面白いと思い、実に構想から下絵デザインの段階で1ヶ月近く費やす始末でした。そしてようやく絞ったのが矢車菊と蜜蜂でした。
植物の種等には矢車草で記載されることがありますが正式名は”矢車菊”で矢車草は別種です。
打ち出し始めはあまり迷いはなかったのですが、花びらが円を描くように奥行きを付ける加減がうまくいかず。
裏表を打ち続けてもめりはりなくのっぺりしていて、終盤まで”これじゃない感”が消えませんでした。
また蜜蜂の後姿が難しく途中では蜜蜂というよりハエに見える危機に陥り、急遽蜂の向きをを斜めにすることで対処しました。
たがねで蜜蜂の背に体毛を表現。腹の縞模様、複眼、足はコントラストがはっきりつくようにいぶします。
極小のなめくり鏨で名入れ。失敗できない緊張の作業ですがなめくりで文字を書くのが結構楽しい。
お多福の力加減で筆のような文字が書けます。
当初はブローチの予定だった作品、後ろの透かしデザインも上がっていました。
打ち出し作業後、ブローチにするにはボリュームがあることと、まわりを整えればきれいな四角になるので額に入れてレリーフにすることにしました。
額はあまり豪華な枠だと作品が目立たないので木製枠を選択。
市販の額は奥行きが足らないので改造、MDFで10mmほどの囲いを作って後ろを延長します。
中板をつや消し黒で塗装、背景はベルベットの黒を貼ります。
中板と背景が黒で重なるのでアクセントに1mmの真鍮の板で中板に窓枠を制作。額を探しているときに飾ってあった絵画が参考になりました。
ネームプレートを真鍮版で制作。
以前オーダーのブックマーカーで使った塩化第二鉄のエッチング技法です。
パソコンの文字をレーザープリンターで出力し、板にトナーを熱圧着させてエッチングしました。
裏技のような加工法なので彫金の分野からみると邪道な方法かと思います。
本当は鏨で名を入れられればベストですが、毛彫り・片切りのレッスンまで到達していないのでそれは次の機会に。